はじめに

大手不動産デベロッパーの中の人です。

普段はマンションの開発や商品企画などをしています。

今回このブログ開設に至った経緯と、このブログを通じてみなさまにどのような価値をお届けしたいか、ということについて最初に記載しておきます。

そもそも、マンション(或いは戸建を含む自宅)を購入すると言うことは、人生をかけた大きな買い物ですよね。多くの人は35年の住宅ローンを組んで、毎月10万円〜20万円ものお金をその家のために支払い続けます。仕事が苦しい時も、楽しい時も、子供が成長する過程も。長い時間をかけて、その家と一緒に過ごしていくわけです。

にも関わらず、購入にあたり必要な情報が、公平かつ健全な形で提供されているかと言われると、そうとは言えないのが、内部にいて感じる実態です。

簡単な課題点を下記に3点記載します。

課題感① 専門性がないと判断できないことが多くなってきた

 マンション購入方法、或いはマンションそのものが複雑になりすぎて、既に素人が購入判断するには限界がきているとさえ思います。モデルルームの展示はオプションだらけで何を見たらいいのかわかりませんし、ハザードマップやら、地盤やらってどう判断すればいいのでしょうね。金利が安いって言うけど本当でしょうか。資産性って言葉を意味もわからずなんとなく使っていませんか。権利関係も、再開発やら借地権やら定期借地権やらマンション建替えやら、とにかく複雑になってきました。中古は?戸建は?本当にだめなのでしょうか?

こんな風に、近年のマンション購入は昔ほど単純ではありません。とにかく多岐にわたる情報を正しく認識し、購入判断をする必要があります。専門性があればわかることがたくさんあるのですが、素人の自己判断にそれを委ねるのは、あまり健全ではないと思います。

…事例を挙げるとするなら。

不動産業者であれば、タワーマンションは10年を目処に売却するでしょう。実のところ、タワマンの永住はデメリットだらけですから。営業マンは教えてくれないと思いますが。

課題感② 怪しい情報が飛び交っている

 現代は、スマホを通じて数百件ものマンション情報を閲覧することができます。一見して便利になったように思いますが、これがどうして、購入者の正常な判断を阻害しています。

 もっとも大きな問題は、情報の「質」です。駅遠はダメだとか、資産性がどうとか、仕様の良し悪しがどうだとか、そのマンションについて知らなくてもよいような情報も含めて、ありとあらゆる口コミが飛び交っています。誹謗中傷の散見される掲示板や、商売意識の強いブログなど、皆さんも心当たりがあることでしょう。こうした情報源は、参照元として不適切であると言わざるを得ません。

こうした最中においては、情報の精度を自分で取捨選択し、自分の力で判断する力が必要になってきています。

課題感③ 売主の情報提供が不親切

 不動産業者は、購入を左右するような都合の悪いことは、できれば伝えたくないと思っています。

 実はこのマンションはスペックが低いだとか、この物件は管理費が高い方だとか、修繕積立金が実は15年後に3倍になるのが一般的だとか、このマンションは面倒な地主がそのまま移り住む予定だとか、こんなことをきちんと教えてくれる営業さんはまずいません。自分で調べなければならないのです。

基本的に、売主や営業マンは自分たちに都合の良いことと、法律で説明責任があると定められていることについてしか教えてくれません。後者についても、都合の悪いことはなるべく印象に残らないようにさらっと終わらせるのが通常です。

ということで。

ということで、正直な話、マンション業界は情報弱者が不利を被るような市場環境ですし、決して健全ではないと思います。

内部の人間がこんなことを書くと怒られそうですが、ここに一石投じたいと思います。

・不動産開発の中の人の観点から
・都合の良いことも、悪いことも、バランス良く
・なるべく定量的に情報発信することで、

マンションの購入検討者が、必要な情報をメリットデメリットを偏りなく取得し、不動産屋に騙されることなく、自信を持って判断できる

マンション購入の一助となるようなブログを目指していきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。